公正証書遺言 

公正証書遺言とは、遺言者が公証人に遺言書の作成を依頼する遺言書のことを言います。

遺言者が証人2人の立会いのもと、口述した内容を公証人が筆記し、遺言者と証人が承認した上で、
全員が署名・押印して作成します。
※証人になる者に資格は要しませんが、一定の欠格事由があるのでご注意ください。

手続に不備があると無効になりますが、公正証書遺言は、原則として公証人と一緒に手続を進めて
いくので、自筆証書遺言などに比べて大変安心ですし、家庭裁判所での検認手続も必要ありません。

また、公正証書遺言の原本は、公証人役場にて約20年間保管されますので、たとえ製本や副本を
紛失したとも、遺言書の効力に何らの影響は及ぼしません。

このように、公正証書遺言は他の2つの遺言方式(自筆証書遺言・秘密証書遺言)に比べてメリットは
多いといえますが、公正証書遺言を残すには、何度か公証役場へ足を運ばなければなりませんし、
公証人との協議には、一定の専門知識を要する場合もあります。

元山法務事務所にお任せいただければ、公証人との複雑な協議も不要となりますのでご安心ください。

※公証人がいる場所を「公証役場」と言いますが、「役場」と言っても、普通のビルの一室にあるような
公証役場もあります。必ずしも市役所のようなところではありません。

 

<当事務所へのご依頼から公正証書遺言作成までの大まかな流れ>

 

1.遺言の内容を、当事務所にお伝えください。

2.完成した遺言内容をFAX・メール・ご来店等の方法にて、ご覧いただきます。

3.公証役場に出向く。(当事務所の行政書士2人が、証人として同行いたします。)

4.公正証書遺言を作成する。(所要時間は、およそ20分程度です。)

5.公正証書遺言の正本及び謄本を受け取る
(原本は公正証書で保管されます。)

 

遺言者自身にて、公正証書遺言を作成するときのポイント

 

まず、証人2人以上の立会いのもと、遺言者本人が公証役場へ出向いて、公証人に公正証書を
作成することをお願いします(嘱託)。
公正証書遺言は、遺言者本人に加え、証人2人と共に計3人以上で公証役場へ出向くことが要求
されていますので、ご注意ください。

公証役場では、まず遺言者(遺言を行う人)に人違いがないかどうかが確認されます。

もちろん、公証人自身が遺言者と面識があれば問題はないのですが、多くの場合は、本人確認の
ために印鑑証明書の提出を求められます。

公証役場へ行き、受け付けで公正証書を作成してもらいたい旨を告げますと、公証人のところへ案内
されます。(いきなり公証役場に出向いてもいいのですが、できれば、事前に電話を入れてから役場に
向かうほうがいいでしょう)。

ここで作成してもらいたい公正証書遺言の内容を公証人に説明します。

公証人は、必要な書類を点検した上で、遺言者から受けた説明をもとに、疑問点があれば質問し、
その後で公正証書を作成してくれます。

内容が簡素なものであるときなどには、その場で作成してくれる場合もありますが、大体は別の日を
指定されますので、初日はお一人で出向かれるケースも多いようです。

指定日には、嘱託した内容の公正証書の原本が出来上がっていますので、遺言者及び証人に閲覧を
させ、問題がなければ、原本の指示された箇所に遺言者本人及び証人が署名押印して手続は終了と
なります。

公証人に支払う手数料は、当日の現金払いとなるケースが多いので、あらかじめ確認した金額を
持参することになると思われます。

 

公正証書遺言を作成する際の注意点

 

1.嘱託する公証役場(公証人)を選ぶ

遺言者自身が公証役場に出向き、公正証書遺言を作成してもらう場合は、どこの公証役場、どの
公証人に嘱託しても構いませんが、公正証書遺言の作成を思い立つときには遺言者の体が自由に
ならないといったケースもよくあります。そういった場合、自宅や病院まで、公証人に出張してもらう
ことになります。

この場合、公証人が所属する法務局の管内に管轄が限定されますので注意が必要です。

また、公証人の出張費用が別途かかってくることにも留意しましょう。

2.証人となる者が二人必要

公正証書遺言を作成するには、証人2名が立ち会わなければなりません。

一般の方が「証人」と聞くと、何か後で面倒が起きるような印象も受けますが、実際は公正証書遺言
の作成時に立ち会ってもらうだけです。 判例でも、証人には何らの責任を負うことがないとされて
おりますので、ご安心ください。

証人は印鑑を持参します。

なお、証人となるための資格は必要とされておりませんが、一定の欠格事由が定められておりますので、
注意が必要です。 ※未成年者、相続人になるであろう人(推定相続人)、推定相続人の配偶者・直系血族
は証人になることができません。

これは、遺言者と利害関係がなく、思慮分別のある成人に遺言書の作成について証明してもらうため
ということです。

3.当日、必要となる書類を用意しておく

身分関係や財産関係を証明するための書類を用意しておきましょう。

・本人性の証明

遺言者本人であることを証明するために、3ヶ月以内に発行された「印鑑証明書」を用意しておきます。

・遺言の内容を明らかにする

遺言の内容には相続人や受遺者、財産などが登場します。それらの存在を明らかにするための
必要書類も準備しておきましょう。

例:相続人や受遺者の戸籍謄本・住民票、財産目録、不動産については登記簿謄本
(管轄法務局で取得できます)

・手数料算定のための資料

公証人に支払う公正証書遺言作成手数料は、相続される財産の価値によって決定されます。
不動産などの固定資産税評価証明書などを準備しておきます。

4.遺言書に記するべき内容を決定する

具体的に「誰に何を相続させるのか」「遺贈するか」「どのように遺産を分割するのか」
「誰が遺言を実行するのか」といったところの内容を決めます。

5.「相続させる」 「遺贈する」 文言は、はっきりと

遺産をだれかに譲る場合、そのだれかが相続人の中に含まれているのであらば、「相続させる」
と記載します。※理由は本ページ上段を参照

相続人以外のものであれば、「遺贈する」と記載します。

6.遺留分の取扱を決定する

遺留分を侵害する遺言がなされても、遺言自体は有効です。

なぜならば、侵害された相続人は「遺留分減殺請求権」を行使して遺留分を取り戻すことができるからです。

なるべく紛争にならないように、遺留分に配慮した遺言を残しておくほうが無難だということができます。

7.遺言執行者を選任する

遺言の中で、相続財産を管理し、遺言の執行を行う「遺言執行者」を指定することができます。
遺言の執行をスムーズにするため、信頼できる人や専門家(弁護士、行政書士、司法書士など)を
指定しておくと安心です。

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