遺言書偽造の疑義

ー ポイント -

1、遺言書に関しては、その内容が偽造であると思われたとしても、まず家庭裁判所に検認の手続
をする必要があります。

2、その上で、遺言書が無効であることの確認調停を申し立てることとなります。

3、前期調停が不成立に終わった場合ないし審判がされないことになった場合、無効確認訴訟を
起こすためには、調停不成立証明書をとる必要があります。

4、調停で無効の確認ができなかった場合には、地方裁判所に対して遺言無効確認の訴訟を提起
します。

 

調停手続

調停委員会は、当事者の主張を聞き、その結果当事者間に合意が成立し、これを調書に記載した
ときは、調停が成立したとして、その記載は確定判決と同一の効力があり、遺言は無効となります。

しかし、当事者間に合意が成立する見込みがない場合または成立した合意が相当でないときは、
調停が成立しないものとして事件を終了させることができます。

 

ー 調停が成立せず、かつ調停に代わる審判がなされない場合 -

遺言無効確認調停事件において、調停が成立せず、かつ調停に代わる審判もしない場合において、
当事者がその通知を受けた日から2週間以内に訴えも提起しないときは、調停申立ての時に、その
訴えの提起があったものとみなされます。

 

遺言無効確認の訴え

遺言無効確認の訴えは、遺言が有効であるとすれば、それから生ずべき現在の特定の法律関係が
存在しないことの確認を求めるものと解される場合で、原告が確認を求めるにつき法律上の利益を
有するときは、適法とされています。

裁判が本来、現在の法律関係の存否を争うものであることから、過去に起こった法律関係について
は、確認の利益がないとされるのに対し、遺言無効確認の訴えは、遺言によって遺言者の財産の
処分が確定されますから、遺言の無効を争うことは、紛争の根本的な解決になると考えられるから
です。

 

ー 訴訟の相手方 -

遺産確認の訴えは固有必要的共同訴訟とされていますが、遺言無効確認の訴えは、固有必要的
共同訴訟ではないとされています。

したがって、遺言無効確認の訴えでは、遺言の効力を主張する受遺者等を被告とすれば足りること
になります。

ただし、複数の遺言執行者が定められているような場合は、遺言執行者全員を被告としなければ
なりません。

Copyright© 2010 All Rights Reserved.