相続債務の調査
ー ポイント -
1、金融機関に対して、被相続人の借入金の残高等についての問い合わせをします。
2、被相続人が営んでいた事業を廃業する場合には、取引業者や金融機関に対して、廃業通知を
出します。
借入金の残高等についての問い合わせ
ー 作成書類 -
取引明細書明依頼書
ー 添付書類 -
被相続人の戸(除)籍謄本(出生から死亡までのもの)
相続人全員の戸籍謄本
相続人の印鑑登録証明書
ー ポイント -
被相続人が金融機関に対して債務を負っている場合には、金銭消費貸借契約書等で、契約日、
借入金、返済期限等を確認し、相続開始日時点の債務額を正確に把握する必要があります。
また、債務額については、金融機関に対して借入金残高証明書を発行してもらいます。
この証明書は、相続税の申告に際して、債務控除の適用を受ける場合に添付資料として必要とな
ります。(相税27④)
ー 取引業者に対する債務 -
被相続人が取引業者に負っていた債務については、取引業者から送付される請求書等によって把握
できるのが一般的です。
ただし、相続人には被相続人の事業内容がよく分からないことが少なくありませんから、問い合わせ
に当たっては、取引業者の不合理な主張を追認することになったり、消滅時効の中断(債務承認)を
したことにならないように注意を払う必要があります。
廃業通知
被相続人が営んでいた事業の後継者がおらず、廃業をする場合には、相続人が取引業者や金融機関
に対して、廃業通知を出しておくと、混乱を最小限に回避することができます。
ただし、廃業しても債務は残っていますから、相続人は、相続放棄をしない限り、その債務を承継する
ことになります。
債務を承継する場合には、その返済方法等について、債権者である取引業者や金融機関と協議しな
ければなりません。
返済が困難である相続人は、場合によっては、自己破産や民事再生の申立を視野にいれる必要も
あることから、廃業通知と同時に、残された債務について相続人がどのような対処をするのかについ
ても、その方針を取引業者や金融機関に示すことが望まれます。