預貯金・有価証券の保有状況を調査する
ー ポイント -
1、預貯金の通帳や預貯金証書によって、相続開始前3年ないし6年間の被相続人の預貯金口座
の取引履歴を確認します。
2、相続税の申告をするときの添付書類として必要となりますから、金融機関意対して、相続発生日
現在の預貯金残高証明書の発行を請求します。
3、株式や国際等の有価証券については、証券等を手掛かりにして、取引のあった証券会社に対し
て、被相続人の有価証券の保有銘柄等について問い合わせをします。
預貯金口座の取引履歴確認のための発行依頼
ー 作成書類 -
取引明細書明依頼書
ー 添付書類 -
被相続人の戸(除)籍謄本(出生から死亡までのもの)
相続人全員の戸籍謄本
相続人の印鑑登録証明書
ー ポイント -
相続開始前3年以内の贈与財産については、相続税の課税価格に加算して相続税額を計算します
ので(相税19)被相続人名義の預貯金の通帳や預貯金証書によって、相続開始前3年間の預金口
座の取引履歴を確認します。
また、平成16年1月1日以降に贈与により取得した財産にかかる贈与税については、更正等期間制
限が6年とされていますので(相税36①)税務調査等に的確に対応するためには、過去6年さかの
ぼって預貯金の動きを調査することが望まれます。
なお、相続人が被相続人の預貯金の取引履歴を調査するに当たっては、プライバシー保護等の理由
から、共同相続人全員の同意を金融機関から求められるのが一般的ですが、近年これに対する判例
が示された(最判平21.1.22裁時1476.1.金判1309.62)ので、実務上に影響が生じるものと思われ
ます。
預貯金残高証明書の発行依頼
ー 作成書類 -
残高証明依頼書
ー 添付書類 -
被相続人の戸(除)籍謄本(出生から死亡までのもの)
相続人全員の戸籍謄本
相続人の印鑑登録証明書
ー ポイント -
預貯金の残高証明書は、被相続人の相続税の申告をするときの添付書類として必要となりますか
ら、相続発生日現在のものを金融機関からとりよせます。
また、預貯金の価額を評価するに当たっては、中途解約利率による既経過利子の額も含めて算定
しますから、併せて利息計算書の発行の依頼をします。
有価証券の調査
株式や国債等の有価証券については、証券等で保有銘柄や株式数等を確認します。
端株が発生している場合もありますが、これは配当金支払報告書で確認することができます。
もっとも、証券等の現物が手元にありませんから、取引のあった証券会社に対して残高証明書の
発行を依頼します。
被相続人が頻繁に株式の売買を行っていた場合には、複数の証券会社と取引をしていた可能性が
ありますので、売買報告書や配当金が振り込まれる預金通帳を確認して捕捉漏れがないようにいた
します。