不動産の保有状況を調査する
ー ポイント -
1、不動産の所在がおおむね分かっている場合には、当該不動産の権利関係を確認するために、
不動産登記簿を閲覧します。
2、次に、登記事項証明書を取得します。
3、名寄帳で被相続人の所有する不動産の所在を調べることもできます。
4、相続税の額を算定するために、不動産の評価を調べます。
不動産登記簿の閲覧請求
ー 管轄法務局の確認 -
不動産の所在地がおおむね分かっている場合には、判明している所在地の周辺の登記簿を閲覧し、
登記簿で所有名義を確認して所在地を特定します。
不動産登記簿の閲覧請求をする場合、また、登記事項証明書の交付請求をする場合、遺産である
と思われる不動産につき、管轄法務局がどこであるかを確認します。
ー 地番・家屋番号等の確認 -
登記簿上の土地、建物の地番、家屋番号は住居表示とは異なりますので、それらの確認は、登記
済証(権利証)または、登記所に備え付けられた地図や住居表示地番対象住宅地図等で確認します。
ー 登記事項要約書の交付請求 -
現在、法務局においては、コンピュータ・システムにより登記事務を行っているので、従前行われて
いたバインダー式の登記簿におけるような閲覧を行うことができません。
そこで、その代わりに登記簿に登録した事項の概要を記載した登記事項要約書の交付制度が設け
られています。
名寄帳の請求
ー 名寄帳 -
名寄帳(土地名寄帳・建物名寄帳)とは、地方税法387条に基づき、市区町村がその地域内の土地
及び家屋について、固定資産課税台帳に基づいて作成するものです。
この名寄帳には、納税義務者の所有する固定資産(土地・建物)の一覧が記載されていますから、
被相続人の名寄帳を見れば、被相続人が所有していた不動産の所在を調べることができます。
ー 名寄帳の交付請求 -
名寄帳は、悪用されないように原則として納税義務者本人でなければ写しの交付を請求することが
できませんが、相続を確認できる書類(戸籍謄本等)を添付すれば、相続人も請求することができま
す。
名寄帳を取り寄せる場合、単名所有分(一人で所有)と共有所有分(数人で所有)とは別々になり
ますので注意が必要です。
固定資産税評価証明書の交付請求
ー 不動産の評価 -
相続税の額を算定するにあたり、市街地にある宅地の評価は、路線化方式がとられます。
路線化とは、国税局長が道路(路線)ごとに1㎡当たりの価額を定めたもので、市街地の主要な道路
には、たいてい付されています。
これに対して、路線化方式が適用されない郊外や、農村部にある宅地、山林、原野などでは、倍率
方式が採用されています。
評価倍率とは、「固定資産評価額×評価倍率」の計算式で評価するものです。
また、建物については、固定資産評価額がそのまま評価額になります。
これらの評価のために、固定資産評価証明書を取り寄せることになります。