刑事告訴手続

理不尽な犯罪の被害を受けた方やそのご家族の方が犯人を処罰したいと
思うのは当然のことです。そのための手段として,告訴についてご説明
します。

告訴とは、犯罪の被害者やその他の法律上告訴を行うことを認められている
一定の者(告訴権者といいます)が、捜査機関に対し、犯罪の存在を申し立て
(犯罪事実の申告)、犯人の処罰を求める意思表示をすることをいいます。

 

<告訴をするには、次の三つの要件が備わっていなければなりません。>

1、犯罪事実の申告

告訴は、その犯罪事実を申告することにより行われ、これがない場合は無効です
「Aさんは悪い人なので処罰して下さい」という申告では、犯罪事実の申告ではないので告訴とはいえません。
具体的な告訴の方法については後述いたします。 その犯罪の行われた日時、場所や犯人の氏名を指定して
いなくても構いませんが、他の犯罪と区別される程度に特定されている必要があります。

 
2、処罰希望の意思

告訴は、申立人の犯人に対する処罰意思があって初めて告訴といえます。
犯罪の被害を申告するに留まる「被害届」とはことなります。 また、捜査機関に対する被害事実の供述
だけでは告訴とは言いません。 書面に仮に「告訴状」と表題が付いていても、内容において犯人の処罰意思
がなければ有効な告訴とは言えません。

 
3、告訴能力

有効な告訴を行うには、告訴を行う人「告訴権者」が告訴の意味・効果を理解する能力を備え、理解して
いなければなりません。 ですから、年少者などは告訴能力なしとされることがあります。

 

 

告訴権者

では次に「告訴権者」について、ご説明しましょう。

法律上(刑事訴訟法)では、「告訴する権利を与えられているもの」を指していいます。
具体的には、被害者本人、死亡被害者の配偶者・直系親族・兄弟姉妹が告訴権者となり得ます。

被害者とは 犯罪によって、直接に害を被った者をいいますが、これは自然人(一般の人)に限られず、
公私の法人はもとより、国や地方公共団体も「被害者」となり得るのです。
また、被害者が死亡した場合、被害者の「配偶者」「直系親族」「兄弟姉妹」は、死亡した被害者の明示
した意思に反しない限りは告訴することができます。
さらに、未成年者が被害者の場合は親権者、すなわち父母および未成年者、禁治産者等の後見人
(法定代理人と呼びます)も、独立して告訴行為を行うことができます。

 

告訴の方法

それでは、具体的な告訴の方法について説明します。

<まず、この告訴という手続きは、「書面または口頭で行う」とされております。>
この場合の「口頭」は、警察官または検察官の面前で行われることが前提とされているので、電話や電報、
メールといった手段を用いたものは認められません。 「書面」とは、「告訴状」を指しており、口頭による
告訴の場合は、「告訴調書」というものが捜査機関によって作成されます。

<告訴を行う相手先>
法律上は、検察官又は司法警察員に対して行うとされていますが、一般の人の場合はこの司法警察員たる
警察官(警察署)に対して行うのが普通で、その告訴受理に関しては、捜査機関(警察など)は、管轄区域の
如何を問わず受理してくれることになっています。
もっとも、実務上は、告訴の形式上の要件不備などが理由でなかなか告訴を受理してもらえないという現実も
あります。告訴は、一般の人にはなじみの薄いものですから、特に複雑な犯罪事案の場合などには、あらかじめ
刑事事件の経験が豊富な当事務所に相談されるのがよろしいと思います。

当事務所では犯罪被害に遭われた方を強力にサポートします。

 

費用

告訴状作成費用 42.000円
告訴手続の代理業務費用 63.000円
調査手続等にかかる諸費用 別途見積いたします

 

参考法令

が付いているものは親告罪です。

 

住居侵入罪(第130条)
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

信書開封罪(第133条)
正当な理由がないのに、封をしてある信書を開けた者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。

秘密漏示罪(第134条)
医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

私文書偽造・変造罪(第159条)
行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

虚偽告訴罪(第条172)
人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴、告発その他の申告をした者は、三月以上十年以下の懲役に処する。

公然わいせつ罪(第174条)
公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

わいせつ物頒布罪(第175条)
わいせつな文書、図画その他の物を頒布し、販売し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処する。販売の目的でこれらの物を所持した者も、同様とする。

強制わいせつ罪(第176条)
十三歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上七年以下の懲役に処する。十三歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

強姦罪(第177条)
暴行又は脅迫を用いて十三歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、二年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。

準強制わいせつ及び準強姦罪(第178条)
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をし、又は姦淫した者は、前二条の例による。

富くじ発売罪(第187条)
1富くじを発売した者は、二年以下の懲役又は百五十万円以下の罰金に処する。
2富くじ発売の取次ぎをした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
3前二項に規定するもののほか、富くじを授受した者は、二十万円以下の罰金又は科料に処する。

傷害罪(第204条)
人の身体を傷害した者は、十年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

暴行罪(第208条)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

逮捕及び監禁罪(第220条)
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

脅迫罪(第222条)
1 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

強要罪(第223条)
1 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。

名誉毀損罪(第230条)
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
2 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。

侮辱罪(第231条)
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

信用毀損及び業務妨害罪(第233条)
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

威力業務妨害罪(第234条)
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

窃盗罪(第235条)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役に処する。(電気は、財物とみなされます)

強盗罪(第236条)
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。

詐欺罪(第246条)
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

背任罪(第247条)
他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

準詐欺罪(第248条)
未成年者の知慮浅薄又は人の心神耗弱に乗じて、その財物を交付させ、又は財産上不法の利益を得、若しくは他人にこれを得させた者は、十年以下の懲役に処する。

恐喝罪(第249条)
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

横領罪(第252条)
自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処する。

業務上横領罪(第253条)
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。

遺失物横領罪(第254条)
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

公用文書毀棄罪(第258条)
公務所の用に供する文書又は電磁的記録を毀棄した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。

私用文書毀棄罪(第259条)
権利又は義務に関する他人の文書又は電磁的記録を毀棄した者は、五年以下の懲役に処する。

建造物損壊罪(第260条)
他人の建造物又は艦船を損壊した者は、五年以下の懲役に処する。

器物損壊罪(第261条)
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

信書隠匿罪(第263条)
他人の信書を隠匿した者は、六月以下の懲役若しくは禁錮又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

Copyright© 2010 All Rights Reserved.