遺留分を検討する

遺言者が、遺言で自己の財産をどのように処分、受贈、相続させるかは、原則として、遺言者の自由
ですが、遺産のほとんどの部分を他人などに勝手に譲渡されてしまうと、残った遺族の権利を侵害す
ることにもつながります。

そこで、たとえ、上記の様な遺言をなされた場合でも、残された遺族(相続人)の権利を守る規定が
民法において定められています。

その、民法上定められている規定が「遺留分」という制度です。

 

ー 遺留分権利者 -

兄弟姉妹以外の相続人(配偶者・子・直系尊属)は、相続財産に対する最低限の権利を保障される。

 

ー 遺留分の割合 -

・ 相続人が直系尊属のみの場合は、「相続財産の3分の1」

・ 直系尊属以外の者がいる場合には「相続財産の2分の1」

この遺留分は、遺留分権利者が数人いる場合でも、その全員の分である「遺留分総額」に法定相続分
をあてはめることで、各自の遺留分が算定されます。

□子と配偶者が相続人
→子が4分の1、配偶者が4分の1
※配偶者が死亡している場合は子が2分の1

□父母と配偶者が相続人
→配偶者が3分の1、父母が6分の1
※配偶者が死亡している場合は父母が3分の1

□配偶者のみ
→2分の1

□兄弟姉妹と配偶者が相続人
→配偶者が2分の1、兄弟姉妹は遺留分なし。
※兄弟姉妹には遺留分の権利はありません。そのため遺言のみによって遺産を与えないようにする
ことも可能となります。

 

ー 遺留分減殺請求権 -

遺留分が遺贈、生前贈与によって侵害された場合、遺留分権利者およびその承継人は、各自の
遺留分に至るまで、贈与や遺贈された目的物の返還または価格による賠償を受けることができま
す。

減殺の順序としては、まず遺贈の減殺をし、次に贈与の順となる。(民1033)

この遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が相続の開始および減殺すべき贈与や遺贈があったこ
とを知ったときから1年間または、相続開始の時から10年間行使しないときは時効じより消滅しま
す。(民1042)

 

ー 相続分の譲渡 -

相続開始から遺産分割までの間に、相続分を譲渡することは可能ですが、譲渡から1ヶ月以内で
あれば、共同相続人は取戻権を行使できます。(民905)

Copyright© 2010 All Rights Reserved.