相続人が行方不明の場合(普通失踪)

 

不在者の生死が7年以上明らかでないとき

ー ポイント -

1、家庭裁判所に、「失踪宣告」の審判を申し立てることにより不在者が死亡したものとみなすことが
できます。

2、失踪宣告の審判確定後に、「失踪届」を提出します。

 

                   事故に遭って所在や生死が分からないときはこちら ⇒「危難失踪

 

失踪宣告(普通失踪)

不在者の生死が7年以上明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の
宣告をすることができます。(民30➀)

 

ー 申立権者 -

申立権者は、利害関係人です。(民30➀) 

利害関係人とは、法律上の利害関係を有する者を指し、不在者の配偶者、父母、受遺者、保険金
受取人などはこれに該当しますが、事実上の利害関係を有するに過ぎない者はこれに該当しません。

 

ー 効果 -

失踪宣告を受けた不在者は、7年の失踪期間の満了の時に、死亡したものとみなされます。(民31)

そのため、失踪者について相続が開始され、婚姻は解消されます。 また、生存配偶者の復氏の
届出も受理されます。

したがって、失踪宣告の審判を受けることにより、失踪した夫の財産を相続して処分することが可能
となりますし、第三者と再婚することもできるようになります。

ただし、死亡の効果が生ずるのは、失踪者の従前の住所または居所を中心とする失踪期間満了日
の法律関係であり、失踪者の権利能力を喪失させるものではないので、失踪者が生存していた場合
に、他所で生活していたことに基づく法律関係や、生存者が帰来してからの新たな法律関係には影
響を及ぼしません。

 

失踪宣告の届出(失踪届)

失踪宣告の審判が確定すると、不在者は失踪期間満了時に死亡したものとみなされますが、失踪
宣告がなされた事実を戸籍に反映させるために、「失踪届」をしなければなりません。(戸94.63➀)

失踪届の届出人は申立人です。(戸94.63➀)

届出期間は、失踪宣告の審判確定の日から10日以内であり、初日を算入します。(戸43➀)

届出地は、届出事件の本人である失踪宣告を受けた者の本籍地はたは届出人の所在地(住所
または居所もしくは滞在地)です。(戸25➀)

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