戸籍の調査 （相続人の確定手続）
相続手続きをするうえで、最も重要な手続きの１つが「戸籍調査」です。
なぜ重要かというと、遺産分割協議を確定するためには、相続人全員の同意が必要であり、協議書を
作成した後に、新たに相続人がいたことが発覚した場合、その協議書は無効となってしまうからです。
相続人の人数や、具体的な人物特定の調査することにより、正確に相続人を把握しないと、そもそも誰に
何を相続させるべきなのかといった話し合いを進めることができません。
また、不動産の移転登記手続き等といった相続財産の名義変更手続きをしようとした場合、それぞれの
行政官署から、戸籍謄本の提出を求められます。
上記の理由から、相続が開始された段階ですみやかに調査を進める必要があります。
具体的な調査の進め方ですが、タイトルにあるように、被相続人の戸籍を調査します。
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍（連続性が欠けないよう注意がひつようです。）、除籍、
改正原戸籍謄本を取得して、家族関係や親族関係を調査します。
※「戸籍の附票」といったものも必要となります。
この調査を行わなければ、被相続人に未婚の子（隠し子）がいる場合や、あるいは実は依然結婚していて、
そちらに子どもがいたといった新事実を知ることはできませんので、分かりきっているからと思い込まず、
正確かつ慎重に調査をすすめる必要があります。
戸籍、除籍、改製原戸籍について
戸籍は、夫婦と未婚の子どもを単位に編製されています。戸籍に記載されている人が死亡や婚姻
などによって戸籍から抜けると、名前が抹消されます。これを除籍といいます。
※抹消されたとしても、記載名が消えるのではなく、除籍事由として、その戸籍に名前が残ることと
なりますので、そこから追跡調査をしていくことになります。
例えば戸籍に載っている全員が除籍されたり、本籍地が別の市町村に移される（転籍といいます）と、
その戸籍は除籍という呼び名に変わります。
また、戸籍はこれまでに法令（戸籍法）が変わることにより、何度か改製されているのですが、この改製前
の戸籍のことを改製原戸籍といいます。
※呼称は「かいせいはらこせき」又は「かいせいげんこせき」といいます。
謄本、抄本について
戸籍、除籍、改製原戸籍には、それぞれ謄本と抄本があります。
謄本は役所に記録されている戸籍の原本をそのまま写した文書のことをいいます。
これに対して抄本とは、原本の一部を抜き出して写した文章の事を言います。
実務上では、抄本を取得するようなケースは少ないため、ほとんどの手続きでは謄本を取得することと
なっているケースが多いようです。
戸籍調査は大変
戸籍調査の方法は、被相続人の最後の本籍地（ご健在の方でしたら、現在の戸籍にあたります。）で
戸籍（除籍）謄本を取るところからはじめますが。
この最初に取得する戸籍に記載された情報を読むと、以前、戸籍がどこにあったかが分かります。
そこで今度は、出生からの戸籍まで遡ってるために、その以前の戸籍を管轄する市区町村役場へ
除籍、あるいは改製原戸籍の謄本を請求することにより、１つ前の戸籍類を取得します。
さらに、そこに記載された情報を読み、それより前の除籍、改製原戸籍等を取得していきます。
そしてこの作業を繰り返すことにより、出生までさかのぼっていくことができます。
戸籍・除籍・改製原戸籍の請求先は、管轄する市区町村役場なのですが、以下のように管轄する
市区町村役場が決まっています。
| 戸籍謄本 | 今現在本籍地がある市区町村役場 |
| 除籍謄本 | 除籍当時、本籍のあった市区町村役場 |
| 改製原戸籍 | 改製された当時本籍のあった市区町村役場 |
上記のように、管轄する市区町村役場が違いますので、婚姻、転籍等が何度もあり、あちこちに
戸籍が移っている場合は、全国各地の市区町村役場に郵送等の方法にて戸籍等を請求して集め
ていくことになります。
この戸籍調査の作業は、戸籍に関する専門的な知識がない場合、困難な作業となります。
戸籍謄本を取れるのは、原則としては戸籍の構成員や直系親族しか許されていないのも、取得を
困難にしている理由の一つにあげられます。
※専門家（行政書士、司法書士、弁護士等）は、職務上の請求権が認められているため、専門家に
依頼することにより、自分たちに変わって取得してもらうことも可能です。
また、除籍や改正原戸籍の多くは、電算化される以前のものが多く、手書きの細かな文字でビッシリ
と敷き詰められるように記載されているため、一般の方が読み取るのは難しいことも予想されます。
自分で取得することが難しい場合は、専門家に依頼されることも検討すると良いでしょう。
相続人の調査のお手伝いを致します。
当事務所では、相続人の調査 のお手伝いを承っております。
戸籍の取得をはじめたが、忙しくてなかなか進まない方、手続きが良く分からない方など、お気軽に
ご相談ください。 お客様のお力になれる日を、心よりお待ちしております。
