遺言書作成の際に注意すべきこと
遺言の内容は、ある一定のルール「法定遺言事項」に従ってさえいれば、あとは、遺言者の自由に
決めることができます。
ただし、残された遺族のことも考えて、のちのちトラブルに発展しないような内容にしなければ、遺言書
があるせいで、相続人や受贈者間に争いが起こりかねません。
せっかく残した遺言書が、トラブルの原因とならないよう、細心の注意を払いましょう。
遺言書を作成する上での注意点
1、遺言書最も重要視されるのは、遺言者自信の意思の尊重である。
何故、遺言書を残すのかを考えたとき、辿りつくのが「遺言者の意思」を残したいからです。
しかし、その遺言書に他者の意思が加わっていた場合、せっかくの遺言書が台無しとなり
かねません。 そのため、遺言書の内容は自分自身でしっかりよ考えたうえで決定しましょう。
2、判断能力が衰えた者の遺言は無効となりうる。
老齢による認知症等にかかってしまってからでは、自信の行為のみでは、遺言書を残すことが
できません。 遺言書は、いつでも撤回することができますので、躊躇でず、少しでも早い段階で
遺言書を作成することをお勧めします。
※認知症などによって判断能力が衰えた後に書かれた遺言は、厳格な要件を備えないかぎり
遺言をする能力がなかったとして無効とされるケースがあります。
3、できるだけ法律用語を使い、誰が見ても一緒の内容になるようにする。
例えば、「財産を○○に任せる」と書いた場合、その任せるの意味が残された者には伝わらないケース
があります。 ゆえに、はっきりと「相続させる」や「遺贈する」といったように、分かりやすい内容に
することで、後のトラブルを回避するようにしましょう。
※どの財産を誰に残すのかをはっきりとわかりやすく書きましょう
4、法律は勿論のこと、公序良俗に反することも書かない。
「財産を相続させる代わりに、この財産を隠し、相続税から逃れるよう指示する」といったような内容
は、この文章内容の全てが無効となるケースがあります。
※社会通念上、許されない事項や犯罪になるような事柄を内容とした遺言は無効です
5、遺言書の数が多くなってしまうことは、混乱を招くことにもつながる。
遺言書を残した後に、新たに財産を取得した場合、当該財産だけの遺言書を作成することも可能です。
ただし、その数が4通を超えるような場合には、前の遺言全てを含んだ新たな遺言書を作成し、当該
遺言書にて、前の遺言を撤回する文を加えれば、遺言書の数は実質その1通となり、よりシンプルに
なります。
6、遺留分を侵害する遺言の内容も有効ではありますが・・・・
たとえば、一時の感情のみで全財産を一人の者に単独で相続(遺贈)させるような内容は、最も問題を
招く要因のひとつになりえますので、より慎重になる必要があるといえるでしょう。
また、そのような内容を残す場合には、その理由も遺言書にて残しておくことをお勧めします。
※遺留分は、遺言によっても侵すことのできない権利です。自分の遺留分が侵害されている場合は、
遺留分権利者は遺留分減殺の請求をすることができます。
ただし、遺留分の権利者がすべてこの遺留分減殺請求をするわけではありませんので、
遺留分を侵害する遺言を書くことはできます。
また、遺留分減殺請求を行う財産の順番を指定することができます。
7、遺言書の日付を間違えないようにする
※自筆証書の日付は遺言者が遺言作成時に遺言能力があったかどうかを判断するために重要なものとなりますので、
本当に遺言書を作成した日付を書きましょう
また、○月吉日といったような書き方をすると、遺言書自体が無効になりますので注意が必要です。