死因贈与契約

死因贈与契約とは、贈与契約の一種であり、贈与者の死亡によって効力が発生するという贈与です。
贈与者の死亡によって効力が発生する点で遺贈と似ており、民法でも、死因贈与は遺贈に関する規定に従うとされています。
遺言は、相手の同意が不要な単独の意思表示なのに対し、贈与は契約ですから、贈与する者と贈与される者双方の合意があって初めて成立となります。
書面によらない贈与は、いつでもこれを取り消すことが出来る(民法第550条)ため、公正証書にすることには大きな意味があります。
ただし、負担の付いてない死因贈与契約では、受贈者に著しい忘恩行為が認められる場合には、信義誠実の原則により撤回しうる場合があります(昭和53年2月17日 最高裁判所判決)。

 

死因贈与契約公正証書を作成するメリット

遺言よりも簡単
  死因贈与契約では、自筆証書遺言の場合のような厳格な様式は不要ですし、公正証書遺言のように証人をたてる必要もありませんから、比較的簡単に作成することが可能です。
執行者を指定することが出来る。
  死因贈与契約では、執行者を指定することが出来ます。
これにより、所有権移転登記などの手続きがスムーズに進められます。
不動産の仮登記が出来る
  贈与するものが不動産である場合、公正証書の中に定めておくことで、所有権移転登記請求権仮登記を付することが出来ます。
また、執行人を指定しておくことをおすすめします。執行人を指定していない場合、本登記の際しては、全相続人を相手にその履行を求める必要があるからです。
税金が優遇される
  税法上、生前贈与(普通の贈与)は贈与税の対象となりますが、死因贈与は贈与税の対象とはならず、相続税が課税されるため、税金が優遇される(安く済む)というメリットがあります。

 

死因贈与契約公正証書に定める内容

贈与する物件の表示
  不動産であれば、登記簿謄本に記載されているとおりに、正確に記載します。
   
所有権移転請求権保全の仮登記の定め
  公正証書の文中に定めておくことで、所有権移転請求権を保全するための仮登記を行うことが出来ます。
   
解除の定め
  重大な侮辱や著しい非行があった場合など、解除する場合の条件を付しておくことが出来ます。
   
その他の事項
  例えば、生存期間中に日常の世話や介護をすることなどの負担を付けることを条件とする、負担付死因贈与契約とすることも出来ます。
   

 

死因贈与契約公正証書の作成に関する必要書類

死因贈与契約公正証書の作成において必要となる書類は、以下のとおりです。

・贈与者の印鑑証明書
・贈与者の戸籍謄本や受遺者の住民票
・贈与する物件の資料
 不動産の場合であれば、
 不動産登記簿謄本と固定資産税評価証明書

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