養育費 / 面接交渉権

養育費とは、子供を養育するために必要な費用のことであり、衣食住に関する費用や教育費、および適度な娯楽費などが含まれます。
親には、未成年の子供を養育(扶養)する義務があります。
この養育義務(養育費の支払義務)は、親権や監護権の有無とは関係がありません。
ただし、養育費の不払いを理由に面接を拒否することは可能だとされています。

 

養育費の支払い方法

養育費は、両親ともに負担する義務があり、一般には、両親それぞれの収入を合計した金額より、養育している側の収入が少ない場合に、収入の多い方から少ない方へ資金の援助をする方法によってなされます。

 

養育費の内容は、原則として両親の間の協議によって決めることとなりますが、両親の間で協議がつかない場合には、家庭裁判所に対する養育費請求調停の申立を行い、調停または審判によって決定されます。

離婚による母子家庭のうち、養育費の取り決めをしているのは、全体のわずか3分の1しかいません。

しかも、養育費を一度も受けたことがない人が全体の3分の2を超えています。

当然、離婚後に紛争(トラブル)となることも多いです。
養育費は、できる限り、離婚の前に定めておいた方がいいです。
話し合いがうまく出来ない場合などは、専門家にご相談下さい。

養育費の額は、両親の収入や資産、社会的地位、子供の数、などによって決められます。
また、養育費の額は、減収などの事情の変更により、いつでも増額や減額を求める調停を申立てることが出来ます。

養育費の支払義務は原則として20歳までですが、最近は大学への進学もあたりまえになっているため、22歳までとする事が多いようです。

 

養育費と面接交渉権

この養育費は、法律上は、面接交渉権(面会交流の機会)とは別個のものとされておりますが、養育費の不払いが子の福祉を害することは想像に難くありません。
そのために、面接交渉権が制限される可能性はあります。
ただし、面会交流出来ないことを以て養育費の支払義務を免れるものではありません。

 

養育費の算定

養育費の金額については、平成15年4月に裁判官らが集まって作成した、養育費・婚姻費用算定表というものが裁判所より公開・公表されており、実務上も裁判上も、現在はこの算定表によって算定され、処理されています。

 

養育費の強制執行に関する特則

養育費の一部について不履行が生じた場合には、給与等の定期給付債権のうち、期限の到来していない部分も含め、その2分の1まで差押えすることが可能です。

民事執行法
第151条の2 (扶養義務等に係る定期金債権を請求する場合の特例)
  債権者が次に掲げる義務に係る確定期限の定めのある定期金債権を有する場合において、その一部に不履行があるときは、第三十条第一項の規定にかかわらず、当該定期金債権のうち確定期限が到来していないものについても、債権執行を開始することができる。
  一  民法第七百五十二条 の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
  二  民法第七百六十条 の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
  三  民法第七百六十六条 (同法第七百四十九条 、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
  四  民法第八百七十七条 から第八百八十条 までの規定による扶養の義務
     
第2項  前項の規定により開始する債権執行においては、各定期金債権について、その確定期限の到来後に弁済期が到来する給料その他継続的給付に係る債権のみを差し押さえることができる。
     
第152条 (差押禁止債権)
  次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、差し押さえてはならない。
  一  債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権
  二  給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権
     
第2項  退職手当及びその性質を有する給与に係る債権については、その給付の四分の三に相当する部分は、差し押さえてはならない。
     
第3項   債権者が前条第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権(金銭の支払を目的とする債権をいう。以下同じ。)を請求する場合における前二項の規定の適用については、前二項中「四分の三」とあるのは、「二分の一」とする。
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