離婚における慰謝料
離婚における慰謝料とは、離婚に至る原因となる行為および離婚自体について、離婚の原因を作った側が相手方に対して支払う損害賠償金のことです。
そのため、特に理由がなく双方が合意して離婚をした場合には「慰謝料」は発生しません。
離婚慰謝料の種類
離婚慰謝料の発生原因には、以下のようなものが該当します。
- 不貞行為(いわゆる「浮気」「不倫」のことです)
- 悪意の遺棄(家に帰らない、生活費を入れない、などのことです)
- DV(夫婦間暴力のことです。精神的虐待も含まれます)
離婚慰謝料の請求をする側に過失があると思われる場合には、過失相殺される場合もあります。
離婚の慰謝料の算定
離婚の慰謝料には、婚姻費用や養育費のような算定式はありません。
慰謝料の金額の算定にあたっては、様々な事情を総合的に考慮して判断する必要があります。
よって、一般にいわれている「婚姻期間×60万円」という計算式が必ずしも成り立つものではありません。
離婚の慰謝料金額の算定において考慮すべき事情
・婚姻期間の長さ
・離婚原因の内容と程度
・相手が受ける精神的ダメージ
・未成年の子の養育環境
・相手の社会的地位や経済的状況(資産や負債)
・婚姻維持のための努力度
など
離婚の慰謝料金額の相場としては、離婚原因別にみた場合、以下のようになっています。
特に理由がない場合 | 0万円~100万円位 |
浮気(不貞行為)の場合 | 100万円~500万円位 |
悪意の遺棄の場合 | 50万円~300万円位 |
DV・精神的虐待 | 50万円~500万円位 |
離婚の慰謝料については、婚姻期間と離婚原因・有責性の度合いに応じた基準として、大阪弁護士会の「家事事件審理改善に関する意見書」の中にある表が以下のとおりであり、参考になるかと思います。
【単位:万円】
婚姻期間 | 1年未満 | 1~3年 | 3~10年 | 10~20年 | 20年以上 |
責任軽度 | 100 | 200 | 300 | 400 | 500 |
責任中度 | 200 | 300 | 500 | 600 | 800 |
責任重度 | 300 | 500 | 700 | 900 | 1,000 |
参考文献:『慰謝料算定の実務』千葉県弁護士会編(出版社:ぎょうせい)
※離婚の慰謝料請求権の時効は、離婚が成立してから3年間です。