悪質・違法な取立て行為
●金融業者や、金融業者から委託を受けた者が、取立てにおいて、威迫する言動、私生活、業務の平穏を害するような言動は、貸金業規制法(貸金業の規制等に関する法律)により禁止されています。
●具体的には、
①暴力的な態度をとること。
②乱暴な言葉を使ったり、大声をあげたりする。
③午後九時から午前八時までの時間に電話したり、訪問すること。
④勤務先を訪問して、債務者、保証人を困惑させる。
⑤支払い義務のない者(親、兄弟)に、支払いをせまる。
⑥多人数でおしかけること。
⑦借り入れの事実、その他のプライバシーを張り紙、落書きその他の方法で明らかにすること。
など
以上のような行為は貸金業規制法第21条(取立て行為の規制)により禁止されています。
●上記のような行為を受けた場合は、録音等をしてしっかりと証拠を作ることが大切です。また、事前に行為が行われると予想される場合には録音等ができるように準備しておきましょう。
<損害賠償請求>
●違法・悪質な取立てを中止しない場合は、行政に苦情の申し立てを行う等の内容の警告書を内容証明で送るのがよいでしょう。
●違法な取立てで被害を受けた借主は、その取立てをした貸主に対し、不法行為に基づく損害賠償請求ができます。悪質な貸金業者に対する刑事処分や行政処分を求めるだけでなく、民事上の責任も追及できます。それは、精神的苦痛に対する慰謝料の請求と財産的損害の賠償請求です。財産的損害とは、取立て屋が原因で退職・休職した場合の減収分や病気の治療費などです。
●貸金業者など貸主のほか、実際に違法な取立てをした業者の従業員や、違法取立てを依頼(委託)された取立屋にも請求したらいいでしょう。業者には従業員を使用している責任(使用者責任)があるので原則として賠償責任は免れません。家族がPTSDになったら、金融業者と取立て行為の実行者に対し、慰謝料と治療費などを請求できます。
関連法令
貸金業の規制等に関する法律(貸金業規制法)
第21条(取立て行為の規制)
1 貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たつて、人を威迫し又は次の各号に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動により、その者を困惑させてはならない。
人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴、告発その他の申告をした者は、3月以上10年以下の懲役に処する。
第204条(傷害)
人の身体を傷害した者は、10年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
第222条(脅迫)
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
第223条(強要)
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。
第249条(恐喝)
人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。