署名・記名・押印
サインについて
サインには2種類あります。すなわち、署名と記名です。
署名とは、自らの手によって自分の氏名・名称を書くことです。署名は筆跡が残るため、その証拠能力はきわめて高く、署名した本人が契約を締結した証拠としては極めて有効な手段となります。
記名とは、自らの手以外の手段によって自分の氏名を書くことです。例えば、ゴム印やワープロの印字などです。また、他人(秘書、妻、など)に氏名を書いてもらうことも記名となります。記名は当事者の筆跡が残らないため、署名に比べて証拠能力が著しく劣ります。
ですから、当事者を確定するという意味で、できる限り署名を求めるべきです。
押印について
押印には大きく分けて2種類あります。すなわち、実印によるものと認印によるものです。
実印とは、公官庁に届出がある印鑑です。個人の場合は市区町村に登録(印鑑登録証明書、いわゆる印鑑証明の登録)している印鑑のことです。法人の場合は法務局(いわゆる登記所)に登録している代表者の印鑑のことです。
なお、当事者の確定するという意味では、いわゆる「拇印」は、最も証拠能力が高い押印といえます。
認印とは、実印以外の印鑑です。いわゆる三文判やシャチハタなどのことです。こうした印鑑は、文房具屋で買い求めれば誰にでも手に入れることができるため、証拠能力が極めて低いといわざるを得ません。また、世界にひとつしかない印鑑であっても、印鑑登録をしていない場合は、誰の印鑑であるかがはっきりしません。そういう意味では、こちらもまた証拠能力に乏しいです。
ただ、実際の契約実務では、少々事情が異なります。
まずシャチハタですが、シャチハタは、経年劣化による損耗によって、印影が変わってしまうことがあります。ですから、通常は、まず印鑑として認められません。そのため、シャチハタによる押印は、できるかぎり避けるべきです。また、三文判は、印影がほとんど変わりませんので、通常は実印と同様に扱われます。ただし、法的な証拠能力という意味では、実印のほうがはるかに高いので、やはり実印での押印を求めるべきです。
住所について
住所には、当事者を確定するという意味がありますから、必ず記入してもらいます。というもの、住所を記入することによって、同姓同名の者との区別ができますし、住所によって、個人名義による契約か、法人名義による契約かの区別をすることもできます。
また、万が一連絡が取れなくなった場合の手がかりともなります。
署名欄は、契約の成立に関わる重要な部分です。
当事務所では、契約書へのサインについての相談も承っております。
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