典型契約とは
典型契約の法律は整備されている
現行の民法では、13種類の典型契約が規定されています。すなわち、「贈与、売買、交換、消費貸借、使用貸借、賃貸借、雇傭(雇用)、請負、委任、寄託、組合、終身定期金、和解」の13種類の契約です。
典型契約は、文字通り典型的な契約で、歴史も古いものです。それこそ、古代ローマの時代にすでに存在していたような、歴史的なものも含んでいます。これほど歴史が古く、多くの人々が関わっている契約ですから、今までに、様々なトラブルも発生しています。
このような数多くのトラブルを参考にして、民法を初めとして、トラブルに対応した法律がすでに規定されていることが多いです。ですから、契約書がなかったとしても、典型契約であれば、民法や商法などの法律によって最低限の救済が図られます。
(あくまで最低限ではありますが。)
契約の種類によっては、さらに細かく規定されている法律もあります。例えば、雇用契約であれば労働基準法、組合契約のなかでも、LLP(有限責任事業組合)であれば有限責任事業組合契約法、土地建物の賃貸借であれば、借地借家法などがあります。このような法律がなかったとしても、数多くの裁判がおこわれていることが多いため、過去の判例によって処理しやすいという特徴もあります。
以上のように、法律が整備されていたり、判例が蓄積されてたりしているという点が、典型契約の特徴です。
典型契約であっても契約書は作成する
契約実務の世界では、いくら典型契約では最低限の法律が整備されていたり判例が蓄積されているとはいえ、できるだけ契約書を作成するようにします。というより、そもそも、それほど単純な典型契約など、企業間の取引では、まずありません。
民法に規定されている典型契約の条文など、それほど多いわけではありません。内容も、それこそ最低限のものであって、ビジネスでの個別具体的な契約条項には対応していないものもあります。ところが、現実のビジネスでは、極めて複雑な内容の契約が多いため、実際に裁判が起こった場合であっても、最低限の法律の条文だけでは対応しきれません。
また、例えば、和解契約のように、トラブル解決のための契約などは、現実的には、契約書を作成しないで契約を交わすること自体、ありえない話です。このほかにも、雇用契約のように、一定の手続き(労働条件の書面や契約書での提示)が必要な場合もあります。
このように、ビジネスでの現場では、さまざまな理由によって、契約書の作成が重要となります。いかに単純そうに見える典型契約であろうとも、契約書の作成を怠ってはなりません。
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