公共工事の概要と種類
概要
近年、わが国における公共事業の入札・契約制度は建設投資の長期にわたる縮小や、工事品質に関する
社会的高まりを背景として、実際の運用面において、とくに主要公共工事発注者側から新しい制度が続々と
打ち出され、参入要件の緩和や手続きの簡素化もかなり進んできている状況です。
それでも、こういった背景にある公共事業に塗装業者や建設業者として新規に参入するためには、当然の
ことながら入札制度そのものに精通していることが必要となっているところですが、やはり財政法や会計法
または地方自治法、その他入札に関する法令等は頻繁に改正がおこなわれており、また専門性も高いため、
公共工事に対しては消極的な業者が多いのも事実ですが、行政書士などの専門家にサポートを依頼すること
により、より積極的な事業展開を進めていくだけのメリットが十二分にあると言えます。
これから公共事業に参入していこうとしている業者の方、また、公共事業についていまいち積極的になれない
業者の方々にも、当サイトにて公共工事入札制度の理解と運用に少しでのお役に立つことができれば幸いです。
入札制度の種類
公共工事の入札手続は、大きく分けて下記の三つの類型に分かれます。
1、一般競争入札
2、指名競争入札
3、随意契約
一般競争入札とは
一般競争入札とは、競争入札に付する工事の概要等を示した広告をして、工事の入札に参加を希望する
すべての者に競争をさせることにより、落札者を決定する入札方式です(会計法29の3、地自法234)
まずは、入札広告から始まり、広告に示された競争参加資格(入札参加条件)を満たすと判断した
一般競争入札参加希望者が申請書と確認資料を提出し、発注者がその確認を事務的に行います。
参加資格を満たすと認められた参加希望者は、指名競争入札における発注者の指名という発注者側
の裁量行為を経ることなく、自由に入札に参加できるところが一般競争入札の特徴です。
指名競争入札とは
指名競争入札とは、まず公共工事発注者があらかじめ競争参加希望者の資格審査を実地して、有資格者名簿
を作成しておき、個々の工事発注時期前に、その名簿の中から、発注工事等級・技術的適性・地理的条件等の
氏名基準を満たしていると認められる有資格業者を多数選定した上で、指名して競争入札を行う方式です。
指名競争入札は、発注者があらかじめ選定した建設業者間で競争入札する点で一般競争入札とは異なりまた、
入札による競争を実地する点で随意契約とも異なります。
<指名基準の役割>
一般的に指名競争入札は、有資格業者の中から競争入札に参加させる者を選定する事から始まりますが、
その参加する者を選定する基準が指名基準です。
国の工事では、予算決算及び会計令96条において、公共工事発注者は指名基準を定めなければならないと
規定されています(各地方公共団体では財務規則等において規定されています)。
<等級別発注の原則>
また、指名基準の内容においては、等級ごとに区分する格付け(ランク付け)されており、より上位に
格付けされているほうが、指名を受ける際に有利であることはいうまでもなく、そのため多くの業者は
行政書士などの専門家にサポートを依頼しています。
(同じ規模、内容の業者でも、申請時の評点計算方法により有利な評点を得ることが可能です)
随意契約とは
公共工事は、基本的には公正性、経済性の観点から、競争入札により契約の相手方を選定するのが基本ですが,
たとえば発注しようとする工事に必要な工法が特殊なため、施工できる者が1社しかいない場合には、競争者が
存在しないので競争入札の実施そのものが不可能です。
また、災害復旧工事等を緊急に施工する必要がある場合には、競争入札を実施する時間的余裕がないことが多く、
さらには、契約予定額がごく小額な場合にもすべて競争入札の手続きをとることはむしろ非効率、不経済です。
このように、競争入札に付することができない、あるいは競争入札に付すことが不適切である場合には、競争入札
により契約の相手方を決定する方式の特例として、公共工事発注者は随意契約方式により特定の建設業者を選定し
契約の相手方とすることができます。