取引先の要求に応える

 

契約書で取引先に情報を開示する

企業間の取引において、契約書を作成するきっかけとして、最も多いものは、取引先からの契約書の作成や提示の要求ではないかと思われます。では、取引先が契約書の作成や提示を求める理由は何かというと、個別の事情によって異なりますが、おおむね、次のような理由によるものと思われます。

□御社と取引先との最終的な取引内容の確認のため
□御社の交渉の出方を見極めるため
□取引先自身または御社と取引先の法令上の契約書作成義務の遵守のため
□取引先自身の総務部や法務部からの要求のため
□御社の法令遵守の意識を見極めるため
□御社の契約実務の能力を見極めるため

これらの具体的な理由に加えて、重要な理由があります。それは、御社が「取引先として信頼に値する企業かどうかを判断する」ということです。契約書には、法的に責任を負うことになる様々な情報が記載されています。御社の契約書に記載されている情報が多ければ多いほど、取引先にとっては、判断材料が多いということになりますので、御社が信頼するに値する企業であると判断してくれます。ですから、可能な限り、契約書という書面を使用して、相手方に対して御社の情報を開示する必要があります。

 

弱点を露呈しないように注意する

このように、契約書は、取引先にとって重要な情報が記載されている書面であり、しかも、御社にとって法的な責任を負うことになる書面である以上、極めて慎重に取扱うべきです。特に、相手方に対して、御社が不利になるような弱点を露呈してしまう内容の契約書は、提示するべきではありません。

例えば、いくら契約書に記載された情報が多いからといって、その内容や表現が稚拙なものであれば、それは「悪い情報が多い」だけですから、御社が信頼するに値しない企業であると判断されてします可能性があります。また、上記の理由ように、取引先は、御社の契約実務の能力を見極めるために契約書の提示を求めてくる場合があります。この場合に、御社が稚拙な内容の契約書を提示してしまうと、御社が信頼するに値しない企業であると判断されるばかりか、取引先に対して、自社が契約実務能力を低いことを露呈してしまうことにもなりかねません。

また、契約書が存在しないということは、それ自体が、御社にとってマイナスの情報です。特に、社にとっては本業の取引であれば、なおさらのことです。本業の取引に使用する契約書は、日頃から整備されてしかるべきものです。ところが、それが存在しないということは、取引先に対して、御社が「普段は契約書を使っていない企業である」ということを知らせてしまうことになります。企業間取引にもかかわらず契約書を使っていないということは、企業の信頼性にかかわる重大なマイナス情報です。ですから、少なくとも、本業の契約書については、あらかじめ作成しておいて、常日頃整備を怠らないようにしなければなりません。

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