作成の法的義務を守る
契約書の作成が義務づけらることもある
原則として、契約書を作成する義務はありません。契約は、口頭であっても有効に成立しますので、契約の有効性という意味では、特に契約書を作成する必要はありあません。また、契約自由の原則のうち、方法自由の原則によって、契約書を作成するかどうかは、当事者の自由に委ねられています。ですから、契約当事者には、「契約書を作らない」自由もあります。
ただ、確かに、たいていの場合は、契約書を作成する必要はありませんが、例外として、契約書の作成が、法律によって義務づけられている場合もあります。特に、ビジネス上の契約では、意外に契約書の作成が義務づけられていることがあります。
一例を挙げると、次のとおりです。
建設工事請負契約書(建設業法第19条)
取引基本契約書などの下請負契約書(下請法第3条ほか)
不動産売買契約書(宅建業法第37条)
金銭消費貸借契約書(貸金業法第17条)
探偵業務委託契約書(探偵業法第8条)
福祉サービス契約書(社会福祉法第77条)
ゴルフ場会員契約書(会員契約適正化法第5条)
消費者向けの売買契約書(特定商取引法)
保証契約書(民法第446条)
金融商品取引契約(金融商品取引法第37条の4)
この他にも、法律によって、作成が義務づけられている契約書はいろいろとあります。特にビジネス上の契約書は、法律によって義務づけられていることが多いです。
契約書は法律を守っている証拠となる
さて、上記のように、契約書の作成は、何らかの法律によって義務づけられています。当然、これらの法律に違反してしまうと、つまり、契約書を作成しないと、何らかの罰則が科されてしまうこともあります。特に、許認可が必要な事業の場合は、その許認可が取り消されてしまう原因となる可能性もあります。
また、相手方に対して書面による契約条件の明示が義務づけられていたり、相手方に対して契約条件が記載されている書面の交付が義務づけられている契約もあります。この場合、法律の額面どおりに、相手に対して、単に一方的に書面を明示したり交付したりしては、確かに相手に書面を明示したり交付したりしたという証拠が残りません。これに対して、契約書を作成して当事者双方が保有することによって、書面での通知や書面の交付をおこなった証拠が残ります。
このように、契約書は、当事者間の契約の証拠となると同時に、法令を遵守しているという証拠にもなります。上記のように、契約書に関する法律の違反は、営業停止処分や許認可の取消しの原因となることもあります。ですから、法令を遵守している証拠としても、契約書を作成しておく必要があります。
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