任意規定の修正

 

 契約内容は法律に反していてもいい

 契約は、一部の例外を除いて、契約書がなくても成立します。では、実際に契約書がない状態で裁判になった場合、どのような判断基準で判決が下されるのかというと、民法や  商法といった、契約に関する法律や商慣習に従って判決が下されます。

 さて、その法律や商慣習が契約の両当事者にとって公平にできているかというと、必ずしもそうとは限りません。ものによっては、一方の当事者にとって不利な内容となっている法律もあります。ですから、契約書がなければ、思いのほかに厳しい法律が適用されてしまう可能性があります。

 そこで、可能な限り自分にとって有利なように法律の規定を修正するために、また、修正を証拠として残しておくために、自分にとって有利な内容の契約書を作成する必要があります。契約書による当事者間の合意は、原則として、法律に優先します。実際に、民法や商法の規定の多くについては、当事者の合意によって修正することができます。このように、当事者の合意のほうが優先的に適用される法律の規定を、「任意規定」といいます。契約内容は、任意規定に関する限り、法律に反していてもかまいません。

 ただ、強行規定に反する契約内容は、無効となります。ですから、当事者間の合意があるからといって、必ずしもすべての契約内容が有効となるとは限りません。ですから、無効とならないように、契約内容と法律の両方をチェックする必要があります。

 

 契約書は裁判の判断基準

 また、そもそも、法律や商慣習が存在しない種類の契約もあります。特に、最新のビジネスモデルの契約の場合は、この傾向は顕著です。

 というのも、法律の世界というのは、ビジネスの世界の後を追います。ビジネスのの世界でなんらかのトラブルが社会問題となって、初めて法整備がおこなわれたり、裁判がおこなわれて判例が蓄積していきます。ですから、最新のビジネスモデルの契約の場合は、本来は裁判の判断基準となるべき、法律、商慣習、判例などが存在しないという状況となることもありえます。

 このような契約にもかかわらず契約書がない場合は、トラブルになったときは、裁判の判断基準が存在しないことになります。このように、明確な判断基準が存在しない契約での裁判の場合、裁判の長期化や、想定外の判決の原因となります。このため、特に最新のビジネスモデルの契約の場合は、契約書を作成することによって、裁判の際の判断基準を明確にする必要があります。

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