裁判の証拠となる

 

裁判で勝ちたければ契約書を用意する

日本の裁判では、物的な証拠が非常に重要です。というのも、民事訴訟法によって、日本の裁判の現場では、証拠裁判主義が採用されているからです(民事訴訟法247条)。

一般的に、「事実」を証明することには、大変な困難が伴います。これは、契約についてのトラブルであっても同じことです。裁判の際には、契約があったという「事実」、自分にとって有利な契約条件であったという「事実」を証明しなければなりません。

また、裁判の際には、当事者の利害が対立した状態となりますから、相手方の協力は一切期待できません。ですから、契約書という形で、お互いに取り決めたこと(=「事実」)の証拠を残していないと、いざトラブルが生じて訴訟に発展した場合、お互いにとって有利な主張をする水掛け論になってしまいます。

裁判は、この水掛け論の白黒をはっきりさせる作業です。このような場合にしっかりした契約書(=事実の証明)があると、その契約書(証拠)をもとに、裁判での主張を有利に展開することができます。ですから、裁判で勝ちたければ、勝てる契約書を用意しておかなければなりません。

 

契約書を用意しさえすればいいわけではない

では、契約書を用意すれば必ず裁判で有利になるかというと、そうではありません。確かに、一般的には、日本の裁判では書面による証拠(契約書)は非常に証拠能力が高い、とされています。

ただ、これは、あくまで「証拠能力が高い」というだけの話です。確かに、自身にとって有利な内容の契約書は、裁判では、自身にとって有利な証拠となります。しかし、自身にとって不利な内容の契約書は、裁判では、自身にとって不利な証拠となります。つまり、契約書は、用意しさえすればいいというものではなく、より有利な内容としなければならない、ということです。不利な内容の契約書であれば、場合によっては、ないほうがまだマシなこともあります。

このように、契約書の存在そのものは、裁判では、必ずしも有利に働くとは限りません。ただ、契約書を作成しようとする者は、ごく特殊な事情(法律を守るためなど)を除いて、初めから自分が不利になる契約書を用意することはありません。そういう意味では、自分以外の者が用意する契約書は、裁判が遭った場合に、何らかの形で、自分にとって不利になる要素があると考えるべきです。

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